この記事ではエアシリンダーの構造と特徴について紹介しています。
「シリンダーの構造が知りたい。」
「シリンダーってどんな部品があるの?」
こんな悩みをお持ちの方に向けた内容となっています。
エアシリンダーは機械や装置において重要な役割を果たします。主な役割としては、力や運動を制御することや圧力の変換、駆動装置としての動力の提供などがあります。
エアシリンダーは様々な産業分野で利用され、機械の動作に不可欠な部品です。
ここでザクっと、エアシリンダーの知識をアップデートしていってください。
エアシリンダーの役割
冒頭でも少し述べましたが、エアシリンダーの役割は様々です。
力や運動を制御する圧力への変換、駆動装置に動力を提供したりなどがあります。
エアシリンダをしっかりと動作させるためには圧力差が必要です。
そのためにはシリンダー内部にある空気を排気させることも重要です。
使用目的
エアシリンダーの使用には主に以下のようなものがあります。
機械やロボットの動力源として利用される。
ドアやバルブの開閉装置として使用される。
重い物体を持ち上げたり押し下げたりするための駆動装置として活躍する。
など様々な所で使用されています。
圧縮空気の示す単位
空気の圧力を示す単位は、一般的に「パスカル (Pa)」が使用されます。
単位はMPa(メガパスカル)やkPa(キロパスカル)で表すのが一般的です。
パスカルは、国際単位系(SI)における圧力の単位であり、1パスカルは、1ニュートンの力が1平方メートルの面積に作用するときの圧力を表します。
一般的な工業用途では、圧力を「キログラム毎平方センチメートル (kgf/cm²)」や「バール (bar)」などの単位で表すこともあります。
1MPa=1,000,000Paに相当します。
1メガパスカルは非常に大きな圧力を表します。この単位は、一般的に高圧の計測や材料の強度評価など、工学や科学の領域で広く使用されます。
シリンダーの使用用途
- 搬送する:
物体を押したり引いたりする力を提供することができます。
例えば、工場のコンベアベルトで製品を運ぶ際にエアーシリンダーが使用されます。エアーシリンダーが動くことで、製品が移動します。
- 掴む:
物体を掴んだり持ち上げたりする役割も果たすことができます。
例えば、ロボットアームに取り付けられたエアーシリンダーが動くことで、アームの手先にあるグリッパーが物体をつかむことができます。
- 押す・引く:
物体を押すための力や引っ張るための力を提供することもあります。
例えば、ドアやボンネットを開閉するためにエアーシリンダーが使用されます。エアーシリンダーが作動することで、ドアやボンネットが押されたり引かれたりします。
- 動作制御:
機械やロボットの動作制御にも利用されます。
例えば、ロボットアームの特定の関節の動きを制御したり、機械の部品の組み立てや加工工程での位置制御に使用されます。
他にも空気を利用して冷ましたりなどありますが、空気圧を利用することで力や運動を制御する役割を果たします。
シリンダーの種類
シリンダーにはさまざまな種類が存在します。主な種類を以下に紹介します。
- 単動シリンダ:
一方向に力を発生させるタイプのシリンダです。圧力媒体(圧縮空気や油など)が片側に供給されることで、ピストンが押されます。もう一方の側ではバネや重力によって戻る仕組みとなっています
- 複動シリンダ
両方向に力を発生するタイプのシリンダです。圧力媒体が片側に供給されると、ピストンが一方向に動きます。逆方向に力を発生させるためには、圧力媒体の供給をもう一方の側に切り替える必要があります。
Q:単動シリンダと複動シリンダの違いは何ですか?
単動型はポートが1か所で、ピストンが戻る時は自重やスプリングの力を使うのに対して複動型はポートが2か所あり、押す時と引く時の両方で力を出せるシリンダーです。
- ロッドレスシリンダ:
ピストンに伸びるロッドがない特殊なタイプのシリンダです。シリンダーの外側にガイドやリニアベアリングが取り付けられ、ピストンが直接作業物体と連結されます。
スペースの制約がある場合や高精度な動作が求められる場合に使用されます。
- 特殊シリンダ:
さまざまな特殊な要件に応じて設計されたシリンダも存在します。
例えば、高温や高圧環境で使用される耐熱シリンダ、腐食性液体に対応する耐腐食シリンダ、高速動作や制御性能が求められる高性能シリンダなどがあります。
動作原理
シリンダーの片側に圧縮空気を供給することでピストンが押され、同時にもう一方の側から圧縮された空気が押し出されることによって、双方向の動きが実現されます。
シリンダーは内部に空気を封入し、その圧力の変化によって動作します。片側に圧縮空気を供給すると、その圧力によってシリンダー内のピストンが押されます。同時に、もう一方の側では圧縮された空気が押し出されます。
このような仕組みによって、シリンダーは双方向の動きを実現します。圧縮空気の供給や排出を制御することで、シリンダーのピストンは前後に移動することができます。この動作を利用して、物体の押し出しや引き込み、移動、持ち上げなど、様々な作業を行うことが可能です。
シリンダーの動作原理はシンプルでありながら非常に効果的です。圧縮空気の力を利用して動きを制御することで、機械や装置の自動化や効率化に貢献しています。
エアシリンダのロッドとは
エアシリンダのロッドとは、シリンダー内部にある棒状の部品です。このロッドはシリンダーの本体に取り付けられており、シリンダー内のピストンと連結されています。ロッドはエアシリンダの動きを制御し、力や運動を伝える役割を果たします。
具体的には、ロッドが駆動することでシリンダーが作動し、物体を押したり移動させたりすることができます。例えば、ロボットアームの動きや機械装置の作業など、さまざまな自動化された操作に使用されます。
エアシリンダのロッドはシリンダーの重要な部品であり、正確な動きと信頼性のある作業を実現するために、適切なメンテナンスや保守が必要です。ロッドの清掃や潤滑、パッキンの点検など、定期的なチェックと適切なケアを行うことで、シリンダーの正常な動作を確保できます。
吸排気ポートについて
シリンダーには吸気ポートと排気ポートがあります。吸気ポートからは圧力媒体(通常は圧縮空気)が供給され、シリンダー内部の圧力が上昇します。一方、排気ポートはシリンダー内部の圧力を外部に放出するための出口です。
吸気ポートはエアシリンダーを動作させるために圧力媒体(エア)を供給する役割を担っています。圧縮空気が吸気ポートから供給されることで、シリンダー内の圧力が上昇し、ピストンが動き始めます。
一方、排気ポートはシリンダー内部の圧力を外部に放出するための出口です。圧縮空気やガスがシリンダー内で動作を行った後、余剰の圧力や排気が排気ポートから外部に放出されます。
吸排気ポートはエアシリンダーの動作に欠かせない要素であり、正確なエアの供給や排出が必要です。メンテナンスや点検時には、吸排気ポートの異常や詰まりがないかを確認し、必要に応じて清掃や修理を行いましょう。
エアシリンダーの速度制御に使うスピコン
[画像引用:https://www.pisco.co.jp/cad/b/b01/JSC/]
正確な動作や速度制御を実現するために、吸気ポートと排気ポートにはスピードコントローラーと呼ばれる装置を装着することがあります。スピードコントローラーはエアの流れを制限することで、シリンダーの動きを調整し、スムーズな作業を実現します。
スピードコントローラーについてはこちらの記事で紹介しています。
クッション機構
シリンダーのピストンが最後まで動作した際に、急停止や衝撃を防ぐためにクッション機構が備わっていることがあります。クッション機構は、圧力媒体の流れを制限して減速させることでスムーズな停止を実現します。
エアシリンダに組み込まれているクッションは、ワーク質量と合わせて大きな慣性力を持っています。ピストンはストロークエンドで停止します。このとき空気の圧縮による反発力を利用して衝撃力が直接ロッドカバーおよびヘッドカバーに作用しないようにするために取付けられています。
例えば、ストロークエンドの15〜25mm手前で排気ポートを塞ぎ、密閉状態の空気をストロークエンドに達するまでの間にピストンで圧縮し、その反力でピストンの動きにブレーキをかけるものです。
実際には密閉状態の空気をシリンダの両側のカバーに設けられた二一ドル弁から排気ポートに逃がし適正なクッション効果が得られるように調節します。
クッション機構が吸収できる運動エネルギーは、その構造上どうしても限界があります。
そのためクッションで衝撃力を吸収できない場合は、摺動部側にクッション機構(ショックアブソーバなど)またはストッパーを設けます。
また、サイクルタイムを短縮させる目的でクッションニードル弁を全開にして使用している場合がありますが、衝撃力によってシリンダの寿命を短くするので避けた方が良いでしょう。
また、薄型シリンダなど クッション自体が無い物もあります。
オートスィッチ
シリンダーにはオートスイッチと呼ばれるセンサーが組み込まれています。オートスイッチは、シリンダーの動作状態を検知する役割を果たします。
オートスイッチは、シリンダーのピストンの位置や動作の開始・終了を検知し、信号を出力します。これにより、シリンダーの正確な位置制御や作業の自動化が可能となります。
例えば、シリンダーが特定の位置に到達したら信号を送ることで、別の機械部品の動作を開始させることができます。
オートスイッチには、接点式や非接触式などさまざまなタイプがあります。
接点式は、ピストンの動作によってスイッチが接触または離脱することで信号を出力します。
非接触式は、磁力や光センサーなどを利用して、ピストンの位置や動作を検知します。
オートスイッチの利用により、シリンダーの制御やシステムの連動が容易になります。
さまざまな自動化や制御システムにおいて重要な役割を果たすため、シリンダーとオートスイッチの組み合わせは多くの産業分野で利用されています。
動作範囲
オートスイッチは、一般的に3〜10mm程度の範囲で動作します。ただし、機種やチューブの内径によって異なる場合があります。
オートスイッチの最も感度の高い位置は、中心にあります。
マグネットの位置をこの最高感度位置に合わせるように調整する必要があります。調整の際には、表示ランプを使用して確認します。マグネットはチューブ内で視認できないため、表示ランプの発色が変化する2色表示スイッチも使用されています。
通常15mm以下のストロークにはオートスイッチは使用できません。
必要な最小ストロークは固定されているため、短いストロークの場合はメーカーに確認する必要があります。
オートスイッチは通常、シリンダの動作方向によって1mm程度の応差が生じます。これが安定した検出をするために、一つのオートスイッチにつき5mm程度のストロークが必要とされる理由です。
また、オートスイッチはシリンダに取り付けられるため、周囲の環境の影響を受けやすくなります。特に液体の飛散や高温の雰囲気には注意が必要であり、対応する専用品を使用することが推奨されます。また、オートスイッチの動作構造により周囲に磁界が発生する場合も注意が必要です。
正確な仕様や適用条件については、具体的な製品やメーカーに確認することをおすすめします。
エアシリンダのエア漏れの原因は?
エアシリンダは、正常な動作と効率的な駆動を保つために、エア漏れを最小限に抑える必要があります。エア漏れが発生すると、シリンダーの性能や効果が低下し、作業の正確性や効率に影響を及ぼす可能性があります。
【エア漏れの主な原因】
- パッキンの摩耗や劣化
エアシリンダにはパッキンと呼ばれる部品があり、シリンダー内部の圧力を閉じ込める役割を担っています。しかし、長時間の使用や環境条件の影響により、パッキンが摩耗や劣化し、エア漏れが生じることがあります。
- 接続部品の緩み
エアシリンダには接続部品が存在し、これらの部品が緩んでしまうとエア漏れの原因になります。特に配管やフィッティングなどの接続部分は定期的に点検し、締め付けが適切であることを確認する必要があります。
- シールの不良
シリンダー内部のシール部分が正しく機能していない場合、エア漏れが発生します。シールリングやシールキットなどの部品が破損、汚れ、劣化している場合は、交換が必要です。
- バルブの不良
エアシリンダを制御するバルブにも不良がある場合、正確な圧力制御ができずにエア漏れが発生することがあります。バルブのオーバーホールや交換が必要な場合は、専門の技術者に相談しましょう。
エア漏れを最小限に抑えるためには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。劣化したパッキンやシールの交換、接続部品の確認や締め付けの確認などを行い、シリンダーの正常な動作を維持しましょう。
シリンダーのエアー漏れ
シリンダのエア漏れには、主に「内部漏れ」と「外部漏れ」の二つのタイプがあります。
【内部漏れ】
内部漏れは、シリンダ内部のエアがピストンパッキンの傷や磨耗によって漏れ出すことを指します。耐久限度を超えた使用や横荷重による偏摩耗、またはごみの侵入による傷などが原因となります。内部漏れが起こると、シリンダ内部のエアが漏れてしまい正確な動作や力の伝達に影響を与える可能性があります。
【外部漏れ】
一方、外部漏れは、ロッドパッキンの傷や摩耗によってエアがシリンダーの外部へ漏れ出すことを意味します。ロッドパッキンはシリンダーのロッド部分に取り付けられており、シリンダー内のエアがロッド周辺に漏れ出ることがあります。外部漏れが発生すると、エアが無駄になりシリンダーの性能や効率が低下する可能性があります。
シリンダのエア漏れは、内部漏れと外部漏れの両方が起こる可能性があります。定期的な点検やメンテナンスが重要であり、ピストンパッキンとロッドパッキンの状態を確認し、必要に応じて交換することが推奨されます。また、使用環境や負荷に応じた適切なシリンダーを選択することも重要です。
パッキンの役割
引用元:http://www.ads-murakami.co.jp/ads_eng.html
パッキンは、エアシリンダーにおいて非常に重要な役割を果たす部品です。以下にパッキンの役割を説明します。
- エアシリンダーの気密性維持
シリンダー内部の圧縮空気をシールし、外部へのエア漏れを防ぐ役割を果たします。適切なパッキンが使用されていれば、シリンダー内の圧力を効果的に保持することができます。
- 摩擦軽減
シリンダーのピストンやロッドとの接触面で、摩擦を軽減する役割も担っています。これにより、シリンダーのスムーズな動作と摩耗の抑制に貢献します。
- シリンダー内部の潤滑油保持
パッキンはシリンダー内部の潤滑油を保持する役割もあります。潤滑油はシリンダー内部の部品の摩擦を軽減し、長寿命化に寄与します。
- 環境からの保護
パッキンは外部の異物や汚れの侵入を防ぐ役割もあります。これにより、シリンダー内部の部品を外部の影響から保護し、動作の安定性と信頼性を確保します。
パッキンの役割はエアシリンダーの正常な動作に不可欠であり、機能性や耐久性の維持に重要な役割を果たしています。
定期的な点検とメンテナンスによってパッキンの劣化や摩耗を把握し、必要に応じて交換することが重要です。
正常なパッキンの状態を保つことで、エアシリンダーの性能を最大限に活かすことができます。
また、パッキンとグリスの相互作用も重要です。固着現象が発生すると、パッキンの動きが制限されたり、エア漏れが生じたりする可能性があります。
適切なグリスを使用し、パッキンとのスムーズな動きを確保することが重要です。
定期的なグリスの塗布とメンテナンスを行うことで、エアシリンダーのパッキンの寿命と性能を最適化できます。
シリンダーパッキンの寿命は?
シリンダーパッキンは、摩耗や劣化が進行するとエア漏れやシリンダーの性能低下を引き起こす可能性があります。そのため、シリンダーパッキンの寿命を把握し、定期的な交換を行うことが重要です。
シリンダーパッキンの寿命は使用条件や環境によって異なりますが、一般的には次の要素に影響を受けます。
- 使用頻度
シリンダーの使用頻度が高いほど、パッキンへの負荷が増加し寿命が短くなる傾向があります。連続的な作業や頻繁な動作が行われる場合は、パッキンの点検や交換を頻繁に行う必要があります。
- 環境条件
シリンダーが使用される環境によってもパッキンの寿命が異なります。例えば、湿度や温度の変化、化学物質や粉塵の存在などがパッキンに影響を与え、劣化を早める場合があります。
- メンテナンスの適切さ
シリンダーの定期的な点検とメンテナンスは、パッキンの寿命に大きな影響を与えます。適切な潤滑や清掃、締め付けの確認などを定期的に行うことで、パッキンの寿命を延ばすことができます。
一般的には、シリンダーパッキンの寿命は数千から数万回の動作サイクルとされています。しかし、具体的な寿命は使用状況やメーカーの指示によって異なるため、メーカーの推奨や点検記録を参考にすることが重要です。
定期的な点検とメンテナンスによってパッキンの劣化を把握し、必要に応じて交換することで、シリンダーの正常な動作を維持し、効果的な作業を実現することができます。
さらに、パッキンの摺動によりリップ面が摩耗して漏れが増大して寿命に達することがあります。
この寿命は500~800kmが一般的目安です
このパッキンは、充填されたエアをシールして圧力を保持するためのものです。
このパッキンがないと 圧力が逃げてしまい、動作しなくなります
パッキンの注意点
シリンダーパッキンの管理と交換にはいくつかの注意点があります。以下に示します。
- 正しいパッキンの選択
シリンダーパッキンは、使用するシリンダーの仕様や環境条件に合わせて適切な種類を選択する必要があります。メーカーの指示や仕様書を参考にし、適切な素材・耐久性・密封性を備えたパッキンを選びましょう。
- 正確な取り付けと締め付け
パッキンの取り付けや締め付けは正確に行う必要があります。適切な工具や方法を使用し、パッキンが正しくシリンダーに装着されるように注意しましょう。また、締め付け過ぎや緩め過ぎも避ける必要があります。
- パッキンの劣化の早期発見
定期的な点検とメンテナンスによってパッキンの劣化や摩耗を早期に発見しましょう。漏れや動作の異常を確認した場合は、パッキンの状態を確認し、必要に応じて交換することが重要です。
- 潤滑剤の適切な使用
パッキンの摩耗を軽減するために、適切な潤滑剤の使用が必要です。ただし、使用する潤滑剤はシリンダーとパッキンに適したものであることを確認し、過剰な潤滑や不適切な組み合わせを避けましょう。
- メーカーの指示に従う
シリンダーパッキンの管理と交換に関しては、メーカーの指示や推奨事項に従うことが重要です。メーカーが提供するマニュアルや技術情報を参考にし、正確な手順とタイミングでパッキンの交換を行いましょう。
これらの注意点に留意することで、シリンダーパッキンの管理と交換を適切に行うことができます。これにより、シリンダーの性能と信頼性を維持し、効果的な作業を実現することができます。
シールメーカー NOK Oリング 解説ホームページです。
http://www.nok.co.jp/product/o-rings/index.html
Q:シリンダーの動きが悪いのはなぜですか?
シリンダーの動きが悪くなる原因はさまざまです。以下によくある原因をいくつか紹介します。
- エア漏れ
シリンダー内部や接続部分にエア漏れがあると、正確な動作が妨げられます。エア漏れによって圧力が低下し、シリンダーの力や速度が減少する場合があります。エア漏れを引き起こす要因としては、パッキンの劣化や破損、接続部の緩み、不適切な配管などが挙げられます。
- 摩耗や汚れ
シリンダー内部の部品やパッキンが摩耗や汚れによって劣化すると、動作に支障をきたすことがあります。摩耗や汚れによってピストンやロッドの動きが制限され、スムーズな動作が妨げられる場合があります。適切な潤滑や清掃、メンテナンスを行うことで、これらの問題を軽減することができます。
- スピコンの設定ミス
スピコン(速度制御弁)の設定が不適切な場合、シリンダーの速度が適切ではなくなります。速度が速すぎる場合は衝撃や振動が発生し、速度が遅すぎる場合は作業効率が低下します。スピコンの適切な設定と調整が重要です。
- 適切な空気圧の設定
シリンダーの適切な動作には正確な空気圧の設定が必要です。空気圧が低すぎる場合は十分な力や速度が得られず、空気圧が高すぎる場合はシリンダーに過大な負荷がかかります。適切な空気圧の設定を行うことで、シリンダーの動作を最適化することができます。
これらの要因によってシリンダーの動きが悪くなる場合は、原因の特定と解決策の実施が必要です。点検やメンテナンスを通じて問題を早期に発見し、適切な対処を行うことで、シリンダーの正常な動作を回復することができます。以下は問題解決のための一般的な手順です。
- エア漏れの確認
シリンダー周辺や接続部分からのエア漏れを確認します。パッキンの状態を点検し、必要に応じて交換します。接続部の締め付けを確認し、必要に応じて締めなおします。また、配管やコネクターにも漏れがないか確認します。
- 摩耗や汚れの除去
シリンダー内部の部品やパッキンが摩耗や汚れによって劣化している場合は、清掃やメンテナンスを行います。適切な潤滑剤を使用して部品の動きをスムーズにし、必要に応じてパッキンや部品の交換を行います。
- スピコンの調整
スピコンの設定が適切であるか確認します。速度が速すぎる場合はスピコンを閉じるか、制限弁を追加して速度を調整します。速度が遅すぎる場合はスピコンを開き、制限弁を調整して速度を向上させます。
- 適切な空気圧の設定
シリンダーの適切な動作には正確な空気圧の設定が必要です。シリンダーの仕様書やメーカーの指示に基づいて適切な空気圧を設定します。必要に応じて圧力調整弁を使用して空気圧を調整します。
以上の手順に従って問題を解決することで、シリンダーの動作を改善することができます。また、定期的な点検とメンテナンスを行い、シリンダーの状態を管理することも重要です。シリンダーの正常な動作は作業効率や安全性に直結するため、適切な管理を行いましょう。
エアシリンダを長い間使用したり、頻繁に駆動させると、内部のパッキンが摩耗してしまうことがあります。パッキンが摩耗すると、そこからエアが漏れ出し、エアシリンダの内部圧力が上がりにくくなります。その結果、負荷を十分に動かす推力を得ることができなくなります。負荷を動かすことが難しくなったり、エア漏れの音が聞こえたりした場合は、パッキンの状態に問題がある可能性があります。
まとめ
この記事ではシリンダーの主な役割について紹介してきました。
・エアシリンダーは圧縮空気を入れて力や運動を伝える役割を果たす。
・単動シリンダーと複動シリンダーの2種類がある。
・吸気ポートと排気ポートがあり、圧力媒体の供給や圧力の放出を行う。
・エアシリンダーの速度制御にはスピードコントローラーが使用される。
・シリンダーにはクッション機構があり、衝撃を吸収して負荷を保護する。
・オートスイッチで動作の検出を行う。
・エア漏れには内部漏れと外部漏れの2つの原因が考えられる。
・ パッキンはエアシリンダーの気密性維持や摩擦軽減、潤滑油の保持する役割を果たす。
今回は以上です。
【終わりに】
シリンダーは圧縮空気を利用して様々な動作を実現する重要な装置です。
正確な動作や効率的な作業を実現するためには、適切な管理とメンテナンスが必要です。
定期的な点検や清掃、パッキンの交換、スピコンの調整などを行い、シリンダーの状態を常に把握しましょう。
また、シリンダーの設計や選定においては、使用環境や動作条件に応じた適切な種類やサイズのシリンダーを選ぶことが重要です。メーカーの指示や仕様書を参考にし、適切なシリンダーを選定しましょう。
シリンダーは機械の動作において欠かせない要素であり、その正確な動作は生産性や安全性に直結します。
これを機に実際の現場での活用に役立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました