歯車の種類と用途

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歯車は用途に応じて、さまざまな形状のものがあります。

歯車の分類

 平行軸の歯車には、平歯車、はすば歯車、内歯車、ラック、はすばラックなどがあります。


平行軸、 交差軸、食い違い軸の3 つに分類されます。

 交差軸の歯車には、すぐばかさ歯車、まがりばかさ 歯車、ゼロールかさ歯車などがあります。 

食い違い軸歯車には、ねじ歯車、ウォームギヤ、ハイポイドギヤなどがあります。

平歯車(スパーギヤ)

最も一般的に広く使われる形状です。製作するのも比較的簡単とされているものです。

平歯車(スプルーギヤ)

スパーギアは、歯が平行に配置された一般的な歯車のタイプです。この歯車は、直線運動や回転運動の伝達に幅広く使用されます。

スパーギアは、自転車のチェーンが歯車の歯と噛み合う様子や、車のトランスミッションでエンジンの動力を車輪に伝えるメカニズムといった具体的なイメージを思い浮かべることができます。

特徴と用途

スパーギアはシンプルな構造を持ち、効率的な動力伝達が可能です。

このため様々な産業分野で使用されており、多くの場面で見かけることがあります。

例えば、コンベアベルトや工作機械の動力伝達、自動車のエンジンとホイールの間の動力伝達などが挙げられます。

メリットとデメリット

スパーギアの主なメリットは、効率的な動力伝達とシンプルな構造です。

歯車同士が平行に配置されているため、力が直線的に伝わりやすく効率が高いです。

また、製造が比較的容易で、コストも抑えられることがあります。

しかしながら、スパーギアにはいくつかのデメリットも存在します。

その中でも最も顕著なのは、接触音の発生です。

歯車同士の歯が噛み合う際に騒音が発生するため、静かな動作が求められる場面には向いていません。

また、高速回転時において歯の先端部分の摩擦や衝撃による摩耗が発生しやすい傾向があります。

スパーギアは、そのシンプルな構造と効率的な動力伝達能力から、多くの産業分野で重要な役割を果たしています。

しかし、騒音発生や高速回転時の摩耗に注意が必要です。

かさ歯車(ベベルギヤ)

ベベルギヤは、縦軸からの力を横軸の力にするなど外径がテーパー状になっています。

軸方向を90度前後変えるような組み合わせに用いられます。

かさ歯車の中でも歯の形状によって、すぐばかさ車、はすばかさ歯車、曲がりばかさ車など細かく分けられています。

かさ歯車(ベベルギヤ)

はすば歯車(ヘリカルギヤ)、やまば歯車(ダブルヘリカルギヤ)

歯が斜めにねじれているもので、一度にかみ合う歯数が多くなります。

強度があり、振動や騒音の発生を抑えられるのが特徴です。

軸方向に力がかかるためそれ用の軸受けが必要であったり、力を打ち消すように歯の向きを逆にしたものを2つ重ねたのがやまば歯車です。

 ヘリカルギア(斜歯車)

ヘリカルギアは、歯が斜めに配置された歯車の一種です。

スパーギアよりも滑らかな動力伝達と静音性が求められる場合に適しています。

ヘリカルギアは、歯車の歯が螺旋状に配置されており、これにより歯同士の噛み合いが滑らかに行われます。

具体的なイメージとしては、ドリルの回転部分を思い浮かべてみてください。

ヘリカルギアは、その特性から高い効率と静音性を提供します。

特徴と用途

ヘリカルギアは、その斜めに配置された歯が、歯同士の接触面積を増やすことで、スムーズな動力伝達を実現します。

このため、動力伝達が滑らかで騒音を抑えたい場面で使用されることが多いです。

例えば、自動車のデファレンシャル(左右の車輪の回転差を調整する部品)や、産業用機械のギアボックス内部で見かけることがあります。

メリットとデメリット

ヘリカルギアの最大のメリットは、その滑らかな動力伝達と静音性です。

歯同士が斜めに噛み合うため、歯車同士の接触音が少なく、動作が非常に静かです。

また、高い効率を持ち大きなトルクを扱うことができる点も魅力です。

ヘリカルギアの設計はスパーギアよりもやや複雑です。

歯の傾斜や角度、歯車同士の噛み合いなどを正確にする必要があります。

また、斜めに噛み合う構造上、軸方向の力に対して抵抗が生じることがあるために注意が必要です。

内歯車(インターナルギヤ)

内径に歯を持つもので、平歯車の一種です。

外径に歯を持つもの同士では回転方向が逆になるのに対し、内径と外径の組み合わせでは同一方向になるのが特徴です。

左は平歯車同士、右は内歯車と平歯車の組み合わせ。

ラックアンドピニオン

小型の歯車(ピニオン)と板状の歯車(ラック)の組み合わせです。

回転する力から直線移動する力に変化します。

ラックアンドピニオンは、直線運動を回転運動に変換するための歯車の組み合わせです。

このシステムは、棒歯車(ラック)と歯ぎり歯車(ピニオン)が連動して動作し、精密な位置決めが求められる場面で使用されます。

ロボットアームの駆動やCNCマシンの位置決め機構などで見かけることがあります。

イメージとしては、電動ドリルの進行方向を考えてみてください。

ラックアンドピニオンは、正確な位置決めと高い効率を提供します。

特徴と用途

ラックアンドピニオンの特徴的な動作は、ラックが直線運動を行う一方で、ピニオンが回転運動をすることです。

この特性を活かして、直線運動を回転運動に変換することができます。

例えば、ロボットアームの特定の関節の動きや、工作機械の工具の位置制御などで利用されます。

ラックアンドピニオンのシステムは、その正確な位置決め能力から、精密な作業が必要な産業分野で広く活用されています。

CNC(コンピュータ数値制御)技術を用いた加工や、医療機器の操作部などでも使用されます。

メリットとデメリット

ラックアンドピニオンの主なメリットは、高い位置決め精度と効率の両方を提供することです。

直線的な運動を回転運動に変換できるため、特定の位置への精密な移動が可能です。

また、正確な位置決めを必要とする場面での使用が適しています。

しかし、ラックアンドピニオンのデメリットは、システムの長さに関連して精度が影響されることがあります。

また、長いラックに対してピニオンが大きくなる場合、歯同士の噛み合いによる歯損や精度の低下が発生する可能性があります。

ラックアンドピニオンは、直線運動を回転運動に変換するための優れた歯車の組み合わせです。

高い位置決め精度と効率を提供し、精密な作業や操作に欠かせない要素となっています。

設計や歯車のサイズに関する注意を払いながら、ラックアンドピニオンの特性を理解することで、様々な産業分野での応用が可能です。

ウォームギヤ

ねじ状の歯車(ウォーム)とそれに合うはすば歯車(ウォームホイール)の組み合わせです。

減速比が大きく得られること、バックラッシュが小さいこと、セルフロックを持つのが特徴です。

ワームギアは、ワーム(螺旋状の歯)とワームホイール(歯車)という2つの部品からなる組み合わせです。

ワームギアは高い減速比を得るために使用されることが多く、その特性からコンベアベルトの運動制御やエレベーターの昇降機構などの分野で活用されています。

特徴と用途

ワームギアの最大の特徴は、高い減速比を実現できることです。

ワームとワームホイールの組み合わせにより、入力軸(ワーム)の1回転に対して、出力軸(ワームホイール)が複数回転する減速効果が得られます。

これにより、低速高トルクの運動を得ることができます。

ワームギアは逆転を防ぐ特性を持ちます。

つまり、出力軸側から入力軸側への逆の回転が難しいため、逆転を阻止するロック機能として使用されることがあります。

メリットとデメリット

ワームギアの主なメリットは、高い減速比とコンパクトな設計です。

この特性から、限られたスペース内で大きな減速を必要とする場面で有用です。

また、逆転を防ぐ機能も持つため安全性の向上に寄与します。

ワームギアの注意点もあります。

摩擦損失が大きいため、高い効率を得ることが難しいことがあります。

また、高負荷をかけると摩耗が進むため、適切な潤滑や冷却が必要です。

ワームギアは、その高い減速比と逆転防止の特性から、多くの工業用途で利用されています。

コンパクトな設計と安全性向上の機能が魅力ですが、効率や摩耗に関する課題も存在します。

【まとめ】

今回は、歯車の種類とその用途について紹介してきました。

歯車は機械設計において、効率的な動力伝達や運動変換を実現するために広く活用されています。

スパーギア
ヘリカルギア
スパイラルベベルギア
ワームギア
ラックアンドピニオン

など、それぞれ異なるタイプの歯車が様々な要求に対応するために存在します。

歯車の選択は、設計の目的や要件に合わせて行うことが重要です。

各種類の歯車が持つメリットとデメリットを理解することで、最適な選択が可能となります。

スパーギアはシンプルで効率的、ヘリカルギアは静音性に優れる一方で、ワームギアは高い減速比、ラックアンドピニオンは直線運動の回転変換など、それぞれの歯車に特有の特性があります。

効率、信頼性、静音性、精密な位置決めなどの要素を考慮して歯車を選択することが重要です。また、歯車の種類や組み合わせをうまく利用することで、機械の性能や動作を最適化することが可能です。

歯車は機械の動力伝達や運動変換の鍵となる要素であり、その適切な選択は効率的な機械設計を実現するために欠かせない要素となります。

今回は以上です。

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