この記事では、空圧制御機器における電磁弁の仕組みについて、基本原理から動作種類までを紹介しています。
「電磁弁は分かるけど仕組みがいまいち良く分からない」
「電磁弁の構造はどうなっているのかを学びたい」
そんな悩みをお持ちの方に向けた内容になっています。
電磁弁は空圧機器においてとても重要な要素ですので、
是非、最後まで読んで基礎知識をアップデートしていってください。
電磁弁とは
電磁弁は、圧縮空気の流路を制御する機構を持つ空気圧機器の一種です。
ソレノイドバルブや方向制御バルブなどとも呼ばれます。
分かり易い例えですと、水道の蛇口がありますよね。
水道の蛇口は人がバルブを開けたり閉めたりしていますよね。
電磁弁は、電気で制御しているということです。さらには、流れ方向を切り替えたりと様々な種類が存在します。
つまり、電気信号を受け取りその信号に応じて圧縮空気の流れを切り替えることができます。
一般的には、電磁コイルと呼ばれるコイルが内部にあり、電流が流れることで磁場を生成し、その磁場によって弁が動作します。
電磁弁はさまざまな用途で使用され、空気圧システムの制御を担う重要な機器です。
なぜ、電磁弁が必要なのか?
空圧制御機器において電磁弁が必要な理由はいくつかあります。
- 制御の自動化
空圧制御機器は、空気の圧力を制御してシリンダやバルブなどを動かすために使用されます。電磁弁は、電気信号を受け取り、それに基づいて空気の流れを制御する役割を果たします。電気信号の制御により、システムの自動化が可能になります。
- 高速な制御
電磁弁は、電気信号を瞬時に受け取って反応することができます。これにより、空圧制御機器の動作速度を高めることができます。例えば、製造ラインなどで素早く動作するシリンダやバルブを制御するために、高速な電磁弁が必要です。
- 遠隔制御
電磁弁は、電気信号によって制御されるため、遠隔操作が可能です。これにより、機器を人手に頼らずに遠隔から制御することができます。例えば、プラントや工場の制御室から操作する場合などに便利です。
- 柔軟性と多機能性
電磁弁は、多様なタイプとサイズがあります。そのため、異なる圧力・流量・ポートの数などの要件に合わせて適切な電磁弁を選択することができます。これにより様々制御に対応する柔軟性と多機能性を実現できます。
- 安全性と信頼性
電磁弁は電気信号によって制御されるため、信頼性が高く安全な制御が可能です。電気信号の入力や制御回路の故障が発生した場合でも、通常は安全な状態に戻るように設計されています。
これらの理由から、空圧制御機器では電磁弁が必要とされています。
電磁弁の仕組み
[引用元:https://automationforum.co/]
電磁弁は、一般的には以下のような構成要素から成り立っています
- 電磁コイル
電流を流すと磁場を発生させる巻線です。コイルには導線が巻かれており、電流が流れることで磁場を形成します。
- スプール(プランジャー)
電磁コイルの磁場に引き寄せられる部品で、通常は
棒状の形状をしています。スプールが動くことで弁の開閉が制御されます。
- 弁本体
スプールによって操作される弁の部分です。弁の開閉によって流体の通路が制御され、流れるか遮断されることがあります。
- ポート
弁本体には通路があり、流体が出入りするポートが存在します。ポートの位置や数は、電磁弁のタイプや用途によって異なります。
電磁弁は電気信号の制御によって動作し、流体の流れを制御するため、自動化やリモート制御など様々なアプリケーションで重要な役割を果たしています。
電磁弁の動作原理
電磁弁は以下のような仕組みに基づいています
✅電磁コイルへの電流供給
電磁弁には電磁コイルがあります。電流が電磁コイルに供給されると、コイルを取り巻く磁場が発生します。
[引用元:https://tameson.co.uk/]
✅スプールの引き寄せ
[引用元:https://jnlongliyeya.en.made-in-china.com/]
電磁コイルの磁場によって、スプール(プランジャー)が引き寄せられます。スプールは一般的には棒状で、磁力によって移動することができます。
✅弁の動作
スプールの動きに応じて、弁本体が開いたり閉じたりします。これによって、流体(気体や液体)の通路が制御されます。スプールが引き寄せられると、弁が開き、流体が通過できます。スプールが元の位置に戻ると、弁が閉じられ、流体の流れが遮断されます。
✅電流の停止とスプールの戻り
電流が電磁コイルに供給されなくなると、磁場が消えます。それによって、スプールは元の位置に戻ります。このとき、弁も元の状態に戻り、通路が開いたり閉じたりすることがあります。
このように、電磁弁は電気信号に応じて動作します。電磁コイルへの電流供給によって磁場が発生し、スプールが引き寄せられることで弁の開閉が制御されます。電流が停止すると、スプールが元の位置に戻り、弁も元の状態に戻ります。
電磁弁の動作原理によって、電気信号を通じて正確な制御が可能となります。これにより、流体の流れを制御し、自動化や遠隔操作などのさまざまなアプリケーションで使用されます。
電磁弁の種類と記号
電磁弁にはさまざまな種類があり、それぞれの種類には独自の識別記号があります。以下に一般的な電磁弁の種類とそれに対応する一般的な記号を示します。
2方向電磁弁
入口側と出口側の2つの配管接続口を持つ基本的な電磁弁
3方向電磁弁
供給ポート、排気ポート、シリンダポートの3つの配管接続口を持つ電磁弁
4方向電磁弁
供給ポート、排気ポート、シリンダポートの4つまたは5つの配管接続口を持っている電磁弁
これらに加え2位置、3位置などさまざまな種類が存在します。詳細は割愛しますが、電磁弁によってどのように制御したいのかによって使い分けをしなけらばなりません。
回路図から読む電磁弁についての記事はこちら
代表的な空圧機器の電磁弁メーカー
空圧制御における電磁弁は、さまざまなメーカーから提供されています。
SMC・・・https://www.smcworld.com/ja-jp/
FA向け空圧制御機器で世界首位。国内シェア6割、海外3割弱
空気圧制御部門で国内シェアトップのメーカーです。
ほとんどの製品を自社にて製作。
CKD・・・https://www.ckd.co.jp/
空圧機器シェアは国内第2位。
空気圧機器・薬品包装機械・液晶向けバックライト製造装置など多彩。
コガネイ・・・https://official.koganei.co.jp/
ロボットの手足など、半導体業界を中心に展開。
自動化と省力化に優れた製品を多く提供。
各メーカーは独自の技術や製品ラインナップを持っており、品質や信頼性に優れた製品を提供しています。電磁弁を選ぶ際には、メーカーの評判や製品の性能などを考慮して適切なメーカーを選ぶことが重要です。
電磁弁と一緒に使う部品など
電磁弁は他の部品と組み合わせて使用していく必要があります。
例えば、配管やエアシリンダなどと組み合わせて空気圧システムを構築します。
制御回路や制御装置なども電磁弁はなくてはならない存在です。
これらの部品や装置との組み合わせによって、電磁弁の機能が最大限に発揮されるようになります。
エアシリンダーについての記事はこちらで紹介しています。
まとめ
今回は、電磁弁の基本についてご紹介してました。
電磁弁は空圧機器の一種であり、電気信号を受け取って圧縮空気の流路を制御する役割を持ちます。
3つの主要な部品
・ソレノイド部
・スプール部
・ポート部
電流の流れによって磁場が発生し、スプールが動き、ポート部の通路を開放または遮断します。
電磁弁の動作原理は、電磁コイルに流れる電流によってスプールが引き寄せられポート部の状態が変化します。
ポイントは、ソレノイドが停止したときにどのように接続されていればいいのかを考えることが重要です。安全面や客先の仕様などから残圧開放時のルールなど様々なことを考慮して選定する必要があります。
電磁弁は空圧制御装置になくてはならない存在です。FA装置には必ず付いている重要な機器ですので覚えていきましょう。
今回は以上です。最後までご覧になって頂きありがとうございました。