今回は、電磁弁の特徴について紹介していきます。
「電磁弁について調べていたけど、回路記号が良く分からない」
「電磁弁の種類について、どんなものがあるのか知りたい」
こんな悩みをお持ちの方に向けた内容となっています。
電磁弁は、ノーマルクローズとノーマルオープンの2つのタイプが存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。
これらの種類を適切に使い分けることは、流体の制御と安全性を確保する上で重要な要素です。
ここでザクっと、電磁弁の知識をアップデートしていってください。
電磁弁の回路記号
まずは回路記号を見ていきましょう。
※ 今回は「シングルソレノイド/タンデム2ポート」のモデルを例にしています。
ソレノイド部(電磁石)
ソレノイドは電気信号により圧縮空気の流路を開閉させる役割を持ち、バルブの流路を切り替えるきっかけとなる部品です。
ソレノイド部には、コイルが巻きつけられた固定された鉄心と、可動する鉄心があります。
コイルに通電することによって鉄心に磁力が発生し、可動鉄心が固定鉄心に引き寄せられます。
可動鉄心は弁体と連結されており、磁力発生で固定鉄心に引き寄せられ動くことで弁体が開き、圧縮空気を二次側へ流すことができます。
シングルソレノイドとスプリング
シングルソレノイドは電磁弁に搭載されているソレノイドの数が1個であることを示します。
シングルソレノイドはソレノイドに通電している時に磁力で流路が切替り、通電をしている間はその状態を保持しますが、通電を断つとスプリングによって元の流路に戻ります。
つまり、ソレノイドに通電することで発生した電磁力により内部のスプールを動かしてバネの力でスプールが元の状態に戻る構造です。
ダブルソレノイド
ダブルソレノイドとは電磁弁に搭載されているソレノイドの数が2個であることを示します。
片側のソレノイドに通電すると流路が切り替わります。
しかし、ダブルソレノイドの場合には通電を断ってもその状態を保持します。
流路を元に戻すためには、もう片方のソレノイドに通電します。
そうすることで元の流路に戻すことができます。
ソレノイドの電磁力でスプールを動かして流路を切換えていますが、ダブルソレノイドにスプリングは搭載されておらず、自動的にスプールが戻ることはありません。
一旦、整理しましょう。
シングルソレノイドは通電が切れるとスプリングによって自動的に元の状態に戻ります。
ソレノイドに通電した時にバルブが開き、非通電時はバルブが閉じます。
例えば、水を流すバルブの切り替えにも電磁弁を使用します。
停電などの非常時にバルブが開いたままだと大変ですよね。
水が止められなくなり流れたままの状態になってしまいます。
こうした非常事態に備える場合には、シングルソレノイドの電磁弁を使用します。
停電時(非通電時)に流路は元の状態に戻りますので、水を自動的に止めることができます。
このような回路では「ノーマルクローズ」の回路となります。
繰り返しになりますが、ダブルソレノイドはもう片方のソレノイドに通電しない限りその状態を保持します。
停電などの非常時やシングルソレノイドだと勝手に流路が切り替わってしまい事故発生のリスクが伴う場面があります。
このような場合にはダブルソレノイドを使用する必要があります。
電磁弁のシングルソレノイドとダブルソレノイドの使い分けでは非常時の流路がどの状態にあるべきかを考慮する必要があります。
重大な事故防止に関わるところなので、とても重要なポイントです。
ノーマルクローズタイプの回路図
ノーマルクローズの電磁弁の場合、流路は常時「閉」の状態にあります。
電流が流れないときにはバルブが閉じています。
このタイプの電磁弁は、非通電状態で流体の通過を遮断する役割を果たします。
先ほど紹介した水のバルブの例がこれに該当します。
他には、火災報知器に使用される電磁弁などがあります。
火災報知器の電磁弁は通常は閉じています。火災が発生すると電磁弁を通電してバルブが開いて消火用水が流れます。
ノーマルオープンタイプの回路図
ノーマルオープンの電磁弁の場合、流路は常時「開」の状態にあります。
電流が流れないときにはバルブが開いています。
このタイプの電磁弁は、非通電状態で流体を通過させる役割を果たします。
例えば、温水器などの場合には、バルブは常に開いています。
電磁弁が通電するとバルブが閉じることで逆流を防止します。
電磁弁の使い分け
ノーマルクローズを採用する事例
▼安全性を確保する必要がある場合
ノーマルクローズの電磁弁は、非通電時にバルブが閉じている状態です。
電源が切れたりした場合には、自動的に流路を遮断します。
では、ノーマルクローズの特徴が必要な場面は何でしょうか?
ノーマルクローズでは安全性が必要であり、とても重要な場面で利用されています。
例えば、ガスの供給などがあげられます。
ガスの供給は、非通電時にはガスの流れを遮断します。
つまり、万が一停電などが発生した時には自動的に流路が閉じることになります。
このように、ノーマルクローズでは安全性を高める役割を果たします。
▼逆流を防止する必要がある場合
ノーマルクローズの電磁弁は逆流を防止するのに適しています。
例えば、給水装置に使用される逆止弁などがあげられます。
非通電状態で流れを防止することにより、水道などの逆流を防ぎます。
つまり、排水が逆流するのを防いでいるということです。
▼停電時でも流体の通過を遮断する必要がある場合
電磁弁を動作させるには電力が必要です。
万が一の停電にも流路を遮断する必要がある場面もあります。
例えば、非常用の設備や災害時の対応などでは、電源が途絶えた状態でもガスや水の流れを遮断することが必要です。
このような場合には、ノーマルクローズタイプの電磁弁が適しています。
ノーマルオープンタイプの適切な使い分け
▼流体の供給を確保する必要がある場合
流体の供給を確保する必要がある場面でもノーマルオープンタイプの電磁弁が適しています。
非通電時ではバルブが開いており、通常は流体の通過が確保されています。
例えば、エアコンや空調など、停電時でも流体(温水や冷媒)の供給を維持するためにノーマルオープンタイプの電磁弁が使用されます。
▼停電時でも流体の通過を確保する必要がある場合
停電時でも流体の通過を確保する必要がある場面でノーマルオープンタイプの電磁弁が適しています。非通電時でも流体の通過が確保されるため、非常用設備や災害時の対応において適切です。
結局どれを選べばいいの?
はい、そう思いますよね。
適切な電磁弁を選ぶためには具体的な用途や要件をよく理解し、それに合った適切なタイプの電磁弁を選ぶことが大切です。
これにより流体の制御と安全性を確保し、システムの効率を向上させることができます。
今回は「シングルソレノイド/タンデム2ポート」のモデルを例に紹介しましたが、この他にも回路はさまざまです。
電磁弁の仕組みについてはこちらの記事でも紹介しています。
代表的な空圧機器の電磁弁メーカー
空圧制御における電磁弁は、さまざまなメーカーから提供されています。
SMC・・・https://www.smcworld.com/ja-jp/
FA向け空圧制御機器で世界首位。国内シェア6割、海外3割弱
空気圧制御部門で国内シェアトップのメーカーです。
ほとんどの製品を自社にて製作。
CKD・・・https://www.ckd.co.jp/
空圧機器シェアは国内第2位。
空気圧機器・薬品包装機械・液晶向けバックライト製造装置など多彩。
コガネイ・・・https://official.koganei.co.jp/
ロボットの手足など、半導体業界を中心に展開。
自動化と省力化に優れた製品を多く提供。
各メーカーは独自の技術や製品ラインナップを持っており、品質や信頼性に優れた製品を提供しています。電磁弁を選ぶ際には、メーカーの評判や製品の性能などを考慮して適切なメーカーを選ぶことが重要です。
まとめ
今回は、電磁弁の使い分けについてご紹介してきました。
✅シングルソレノイド
・ソレノイドが一つ
・非通電時では、スプリングで戻る
✅ダブルソレノイド
・ソレノイドが2つ
・流路の切り替えは通電しないと切り替わらない
✅ノーマルクローズの電磁弁では、非通電時にバルブが閉じている状態
ノーマルオープンの電磁弁では、非通電時にバルブが開いている状態
✅シングルソレノイド、ダブルソレノイドの使い分けは、非常時の事故防止に関わる要素であるためとても重要!
※ 適切な電磁弁の選定は、具体的な使用用途を理解して適切な電磁弁を選ぶことが大切になる
今回は、以上です。
【終わりに】
電磁弁の適切な使い分けでは、バルブの開閉から流路の状態を理解することで、種類はおのずと絞られます。
安全性や事故防止に、どの電磁弁を採用するのか?
この記事を読んだことで、今後の実務に役に立てれば幸いです。