【速度制御弁】スピコンの流れ方向を知るには?調整の2種類を確認

シリンダー
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「スピコンの流れ方向が分からない」

「スピコンで調整の仕方を知りたい」

「そもそもスピコンってなに?」

この記事はこんな悩みをお持ちの方に向けた内容になっています。

スピコンは様々な機械や装置で使用されている制御機器です。

初めて使用する人にとっては取り付ける向きがどっちなのか分かりませんよね。

スピコンは正しい向きで取り付けないと効果的な制御や安全性に影響を及ぼす可能性があります。

今回はスピコンの取付け向きと空気圧の基本を紹介していきます。

是非、最後まで読んでいってスピコンの知識をアップデートしましょう!

スピコンとは

[画像引用:https://www.pisco.co.jp/cad/b/b01/JSC/]



スピードコントローラーは一般的にスピコンと略されます。

スピコンには調整するツマミがあり、これを回すことで空気の流れる量を調整してスピードを変えるこ

とができます。これが空気圧制御です。

このスピコンはFA装置などに使用される空圧機器に流れる空気の流量をコントロールしています。

そもそも空圧制御ってどういうこと?

さまざまな機械装置で空圧制御が利用されています。

産業機械では空気圧を利用することで、物体の面を空気で押して色々なものを動かすことができます。

空気でものを動かすには圧力がなければ動いてくれません。


圧力がないものは・・・「風」です。

では、圧力を生み出すにはどうしたらいいでしょうか?

答えはいたってシンプルで、「密閉する」です。

空気と空気圧の違いは密閉されているかどうかで変わります。

そして、空圧制御には、さまざまな機器が必要です。

  • 空気を送る「供給源
  • 圧力を生み出す「圧縮機
  • 圧縮した空気の流れを切り替える「方向切替弁
  • スピードを調整する「速度制御弁
  • 圧縮した空気を利用してものを動かす「アクチュエータ

など空圧制御するためには様々な空圧機器があります。

スピコンは制御弁のなかでも空気の流れるスピードを調整する速度制御弁」になります。

次に、スピコンの流れ方向についてご紹介していきます。

スピコンの調整には流れの向きがある

スピコンには空気の流れを調整できる「向き」があります。

空気は自由に流れることができますが、流量調整はどちらか一方向だけが制御できます。

「そのどちらか一方向は何で分かるの?」

この向きを判断するのには、JIS規格で決まっている回路記号を読むことです。

スピコンには空気の流れを調整するニードル弁(絞り弁)とチェック弁(逆止弁)があります。

この、どちらか一方向を制御できる構造になっています。

言い換えれば、どちらか一方の流れは制御が出来ないということです。

次に、スピコンの回路記号とチェック弁(逆止弁)の向きを確認しておきましょう。


[画像引用:シーケンスとは、5分野で解説する用語辞典 (denkishuri.com)

チェック弁のシンボルは至って簡単で「ポペット:〇」と「バルブシート:<」の位置関係を理解しておけばいいだけです。

自由流れ:

→<〇→

このV字バルブ記号から先に空気が流れ、丸い玉へ空気は流れていきます。

流れる空気は自由に通っていきますので制御は出来ていません。

流量制御:

←<〇←

一方で、丸い玉から空気が流れますが、V字記号の所で空気はせき止められます。

せき止められた空気はチェック弁を通過できずニードル弁だけを通過することになります。

つまり、ここで絞りの調整が可能となります。

このチェック弁の向きは非常に大切な所ですので、ここで覚えてしまいましょう。

後になってチェック弁の向きが逆だったと気づくと、組み直しなどの二度手間となってしまいます。

次に、そのチェック弁の向きについてご紹介していきます。

スピコンには「メータイン、メータアウト」の2パターンがある

スピコンは両方向に空気を流すことができますが、流れを絞る方向は決まっています。

つまり、取り付ける向きによっては空圧制御ができないということです。

この空圧制御する場所をシリンダーの前でするのか、後でするのかで変わってきます。

これを「メータイン」と「メータアウト」といい、場所によって影響してきます。

メータイン

メータインは、シリンダーの入力ポートで制御します。

これによって正確な圧力が供給でき、適切な圧力に上げることが可能です。

この安定した圧力供給がシステム全体の精度を左右してきます。

[画像引用:CKD 空気圧機器 制御機器 自動機械装置 総合メーカー

メータアウト

メータアウトはアクチュエータの出力ポートで制御します。

排出される空気を制御することで動作速度や力の大小を調整します。

メータアウトは動作速度を調整することで安定した動きを実現できます。

[画像引用:CKD 空気圧機器 制御機器 自動機械装置 総合メーカー

また、作動する物の負荷を安定化させることができるので安全性の向上が期待できます。

つまり事故や故障の予防にも役立っています。

一般的にアクチュエータの速度調整を行う場合には、メータアウトのほうが安定した動作が得られやすいです。

メータインは、残圧排気直後の飛び出し防止のバランス回路などで活用されています。

空圧制御のメリット・デメリット

産業機械のエネルギー源には「空圧」「油圧」「電力」などがあります。

ここでは空圧制御の特徴を紹介します。


メリット

  • 空気はどこにでもある

その名の通りエネルギー源は空気です。油圧に比べて空圧は低負荷で設備構造が単純なことが特徴にあげられます。

  • 取り扱いが簡単

レギュレーター(減圧弁)によって空圧の調整ができ、スピコン(速度制御弁)によって無段階に速度調整が可能です。

回路構成も複雑なものは少ないのでメンテナンス性にも優れていると言えます。

  • 小型で軽量

使用する圧力は0.5MPa程度が一般的です。減圧弁や速度制御弁などは比較的小型で安価です。

したがって設備導入のハードルは低いことが考えられます。

  • 安全に長けている

仮に万が一でも空気が漏れてしまっても、汚染の心配はなく人体への影響がないことが安全面での大き

なメリットです。

しかし、いくら人体に安全とはいえ「漏れ」というのは不具合であり放置しておくことは出来ません。

デメリット

  • 厳密な制御をするのは難しい

空気圧には圧縮性があり厳密な制御をするのには不向きとも言えます。

つまり、圧縮状態によって動作が不安定となり、位置制御ができないということです。

シリンダーが伸びる・縮むなど単純な動作しか出来ません。

  • 油圧や電気などのエネルギーに比べて大きなエネルギーは得られない

油圧・電動・空圧にはざっくりと次のような特徴があげられます。

油圧・・・ポンプなど小さな動力から大きな力を生み出すことが出来る

電動・・・複雑かつ高精度の動きを実現できる

空圧・・・比較的シンプルかつ安価で取り扱いが容易

それぞれに違った特徴がありますが、空圧はそれほど大きなエネルギーを生み出せないことがあげられます。

  • タダ(無料)じゃないコンプレッサーのランニングコスト

空気はタダ(無料)だと言いましたが、動力源の運転はタダ(無料)ではありません。

車で例えるならば、ガソリンタンクやエンジンの大きさが違えば燃費が変わってきますよね。

動力源つまりコンプレッサーの仕様でランニングコストは違ってきます。

コンプレッサーを管理していない人には盲点かも知れません。

空気は安全だが残圧は危険

機械のメンテナンス作業を行う上で、機械内に残っている「残圧」は危険であり、とても重要です。

残圧は目に見えません

この残圧が残っている状態でメンテナンス作業を行ってしまったとしたら・・・。

電源を切ったのにも関わらず誤作動を引き起こす可能性が非常に高いと言えます。

また、残圧の「排気」にも注意が必要です。

・機械内にある残圧によって保持されている箇所が何処なのか?

・残圧を排気した場合には機械がどのような状態になるのか?


などをしっかりと予測しておかなければ思わぬ事故に直結します。

残圧を理解して機械動作を正確に予測するためには経験が必要です。

「あるある失敗事例」組立編

「スピコンの調整ねじを絞っても変化しない」

絞りたい向きを逆に取り付けていませんか?組立作業でのやらかしポイントです。

回路図とホースの流れを照らし合わせましょう。

よくある「逆向きに取り付けていた」はほとんどの人が経験しているはずです。

「流量を絞るためシリンダーから遠くに取り付けた」

油圧の場合、シリンダーから離れていても配管の膨張は無視できます。つまり圧力は安定したコントロールが可能です。

一方で空圧の場合、ホースの膨張で圧力が安定しなくなることも考慮しなければなりません。基本的にはシリンダーから直ぐの場所に取り付けます。

[主なスピコン機器取り扱いメーカー]

SMC 株式会社
FA向け空圧制御機器で世界首位。国内シェア6割、海外3割弱
空気圧制御部門で国内シェアトップのメーカーです。
ほとんどの製品を自社にて製作。

CKD(シーケーディ)株式会社
空圧機器シェアは国内第2位。
空気圧機器・薬品包装機械・液晶向けバックライト製造装置など多彩

日本ピスコ
ピスコのスピコンは自動車産業や半導体産業、食品加工産業などで使用されています。
ピスコ製品には、エアシリンダーやエアフィルター、バキュームエジェクター、真空パッドなどがあります。これらの製品は、工場の自動化や省力化に貢献しています。
現在では、多くの産業分野で活躍するブランドとなっています。

まとめ

今回はスピコンの向きと空圧制御機器の基礎知識について紹介してきました。

  • スピコンは空圧制御機器のなかで速度を調整する機器である。
  • 空圧制御機器には、供給→圧縮→制御→ワークへと様々な機器が使用されている。
  • スピコンにはメータインとメータアウトの2種類がある。
  • 取り扱いは容易だが、厳密な制御が難しい。
  • スピコンの取付け向きや場所が重要

今回は以上です。

【終わりに】

スピコンはあくまで流れを絞るだけだということを覚えていって頂けたら嬉しいです。

圧力を絞ることは出来ません。

この記事を読んだことで、今後の実務に役に立てれば幸いです。

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